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途上国におけるICTを活用した教育

発展途上国の教育にICTをどう活用するか?
〜現場で感じる課題と可能性〜

今回は、教育分野の開発コンサルタントであるハデコ教育開発部部長(収録当時)杉山竜一さんに、途上国におけるICTを活用した教育について伺ったPodcast#111−112から、印象的なお話を抜粋してお届けします。杉山さんは教員としてのご経験に加え、民間IT企業でのシステム開発やネットワーク構築の経験を活かし、理科教育教員養成や教員研修、ICT活用などを専門としています。これまで約25年間にわたり、ルワンダ、ヨルダン、ミャンマー、モザンビーク、パプアニューギニア、カンボジア、ベトナムなど、アジア、中東、アフリカのさまざまな国で教育開発に携わってきた、教育開発のプロフェッショナルです。

現在の途上国の教育現場でICTがどのように活用されているのか、現状について

教育現場でICTを活用する際の主なポイントとして、次の3つが挙げられます。

  1. 子どもたちの学びをどう改善するか
  2. 教師の教え方や教員研修をどのように改善するか
  3. 学校の事務作業(公務)をどう効率化するか

特に3つ目に関して、日本を含む先進国におけるICT(情報通信技術)の導入は、まず出席や成績の管理といった学校事務(いわゆる「公務」)の効率化から始まりました。その一方で、発展途上国の多くでは、そもそも成績や出席を適切に管理するための仕組みや制度が十分に整っていないことが多いです。そのため、ICTを導入しても基盤が脆弱なために、期待したほどの効果を上げにくいという課題があります。

さらに、パソコンやプリンター、プロジェクターなどの機器が不足していることや、パソコンの基本的な操作に慣れていない教員が多いことなど、物理的な課題も少なくありません。こうした理由から、ICTの活用が学校現場においてスムーズに進まないケースが多く見られます。

コロナ禍が遠隔教育の大きな転機に

そうした中、コロナ禍はICT活用の大きな契機となりました。多くの国で学校が閉鎖され、オンライン授業や遠隔研修のニーズが一気に高まりました。これまでインターネットを使ったことがなかった先生たちが、テレビ会議でつながり、衛生指導や教材研究を進めるようになったのは大きな変化です。

一方で、子どもたち一人ひとりの学びを直接ICTで改善する取り組みは、限定的です。例えば日本のGIGAスクールのように「一人一台」のタブレットが整備されている国は、途上国においてほとんどありません。

「ICT立国」ルワンダにおける挑戦と課題

ルワンダは四国程度の国土を持つ小さな国です。「ICT立国」を掲げて約20年、国を挙げて取り組んできた結果、ようやく成果が見え始めています。とは言っても、課題は山積みであり、特に電力やインターネットといった基盤インフラが不十分な地域では、いくらパソコンやタブレットを学校現場に配布しても十分に活用できません。

そんな中、民間企業が提供する衛星インターネット(スターリンク)の登場は、「これは革命だ」と杉山さんが感じるほどのインパクトをもたらしています。従来は10Mbps程度だった学校のネット回線が、スターリンク導入で150〜200Mbpsまで高速化し、Eラーニングの実施が現実的になってきたのです。

写真:杉山さんがルワンダでEラーニング用演習問題開発ワークショップをする様子

ICT活用を推進するために必要なこと

ICTを活用した教育は、電力・インターネット・機器の整備、そしてそれらをどう運用するかの研修など、複数の条件が揃って初めて機能します。

また、公的セクターの特性上、どうしても「失敗できない」という性質があり、スピード感を持ってICT導入を進めるのが難しい面があります。そこで、民間企業やコンサルタントと連携しながら、スピードと堅実性のバランスを取ることが大切だと杉山さんは話します。

国全体のビジョンやリーダーシップ、「失敗を恐れず挑戦し続ける」姿勢が何より重要なのです。

これからの教育とICT

最後に、杉山さんはこんな問いを投げかけました。

「教師がAIに「等差数列を教えて」と入力し、その説明をそのまま授業で使う。ということを思い浮かべたときに、
 ・これは果たしてこれが教育と言えるのか?
 ・そして、これが将来のあるべき姿なのか?」

教育のデジタル化そのものは推進すべきですが、AIのような新しい技術をどう活用し、教師や子どもたちがどう向き合うか。まだ答えは出ていません。

対談の最後に・・・

「私自身、学び続けながら進化していきたい」

と杉山さんは語りました。

関連情報:
JICA ODA見える化サイト「ICTを活用した初等理数科学びの改善プロジェクト」(ルワンダ)
JICA ODA見える化サイト「ICTを活用した理科教育のためのLRC機能強化プロジェクト」(ヨルダン)

記事作成者:宇野耕平

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