パプアニューギニアの教育の今

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教育の現状(5/11更新)

3/23から休校となり、そのまま学期休みに入っていましたが、5/4より学校が再開されました!

パデコの取り組み(5/11更新)

同国初の国定教科書(算数・理科)の開発を支援した「理数科教育の質の改善プロジェクト」は2020年1月に終了しましました。新教科書の全国の小学校での利用が始まりました。


教育の現状(2020/5/11更新)

学校の状況(休業の状況)

3月21日に国内最初の新型コロナウイルスの感染者が確認されたことを受け、3月23日から全国すべての学校で休校措置が取られました。移動制限も実施されたため、寄宿制学校(主に高校や大学)の学生たちは帰宅することができず、寮での生活を余儀なくされました。

こうした早期の対応の効果もあり、パプアニューギニアの感染者は低い水準で留まっており、4月23日に8人目の感染者が確認されたのが最後です(5/11現在)。そのため、パプアニューギニア政府は、5月4日に休校措置を解除しました。

政府の対応状況

<休校期間中>

パプアニューギニアは、密林や離島などで隔絶された地域が多く残り、学校教育の普及を阻害してきました。反面、古くから遠隔教育が盛んで、ラジオ授業が遠隔地の教育を補完してきました。2000年代以降は、日本の協力によりテレビ授業が毎日放送されるようになっています。こうした経験を背景に、政府は休校後すぐさま、テレビ・ラジオ局に協力を要請、合計5チャンネルで日中の時間帯にテレビ・ラジオ授業を放送しました。

<休校解除後の対応>

4月23日、教育大臣が5月4日に休校を解除する旨の声明を発表し、学校再開ガイドラインを公開しました。パプアニューギニアは4学期(クオーター制:41週)で今年の学校歴は以下の予定でした。

  • 1学期:2/3~4/17(11週)
  • 2学期:4/27~7/3(10週)
  • 3学期:7/20~9/18(9週)
  • 4学期:9/28~12/11(11週)

 今時の休校期間は1学期の終わりから2学期の初めにかけての週間ですが、うち1週間は学期休みであったため、影響を受けたのは1学期最後の4週間と2学期最初の1週間、計5週間でした。この5週間の穴埋めを行うべく、政府は以下の指針を示しています。

  • 週5日制は維持
  • 2-3学期の間の休みを1週間短縮し、2学期の授業数(10週)を維持
  • 2学期は休校に入る前の授業から継続
  • 2学期の授業数を毎週8コマ(月水金2コマ、火木1コマ)追加
  • 3学期から年間指導計画の予定に復帰

出典:

子どもたちのいま

パプアニューギニア政府は、4月22日から5月1日にかけて、小中高404校、及び幼稚園52校の校長に電話インタビューを行いました(対象児童生徒数:127,504名)。下記主な調査項目に「はい」と回答した学校の割合を列挙します。

  • 学習コンテンツにアクセスできた子どもは半数未満:72%(またこれら学校は同時に「電力がある家庭が半数に満たない」と回答)
  • ほとんど子どもがラジオにアクセスできる:22%
  • 新型コロナウイルスの正確な情報を得るのが難しかった:82%
  • 家庭学習の状況がわからない:78%
  • きれいな水へのアクセスなど、清潔を保つことが困難:75%

こうした状況から、家庭学習の支援に必要な学習コンテンツは、ドリルやワークシート、教科書などの紙媒体をあげる学校が半数以上を占め、ラジオやテレビ、オンライン授業を望む学校は、少数にとどまりました。多くの子どもたちは、休校期間中、学習の継続が困難であった様子が浮き彫りになりました。

出典:


パデコの取り組み(2020/5/11更新)

2005年から、テレビ授業番組の製作と、その普及のための支援活動を行いました。また2016年からは、同国初の国定教科書(小学校算数・理科)の開発を支援し、パプアニューギニアの遠隔教育、紙媒体両方の学習コンテンツの充実に長く貢献しています。国定教科書開発を支援した「理数科教育の質の改善プロジェクト」は2020年1月に終了し、新教科書の全国小学校での利用が始まっています。

引き続き、元プロジェクトスタッフらとも連絡をとりながら、可能な支援策を検討しています。

参考:

文責:杉山竜一(プリンシパル・コンサルタント)


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