ラオスの教育の今

教育の現状(8/12更新)

3月19日から休校が続いていましたが、初等教育5年生、中等教育4年生、7年生(前期中等教育、後期中等教育の最終学年)は5月18日から、初等教育1~4年生は6月2日から学校が再開しました。

パデコの取り組み(8/12更新)

2016年から基礎教育の技術協力プロジェクトを実施しており、初等算数教育の質の改善に取り組んでいます。パデコは現地政府と密に連絡をとりつつ、遠隔で技術指導を行っています。


教育の現状(2020/8/12更新)

学校の状況(休業の状況)

ラオスでは通常9月~5月が学校の年度となっています。しかしCOVID-19の影響によって、3月19日から全国の公立・私立教育機関を一斉休校としたことや、3月30日から全国でロックダウンを実施したことによって、新規感染者数の爆発的増加は抑えられています(2020年8月11日現在、感染者は計20名、死者0名)。5月3日にはロックダウンが解除され、省庁、会社での勤務が徐々に再開されました。学校は、5月18日から初等教育5年生、中等教育4年生、7年生(前期中等教育、後期中等教育の最終学年)、6月2日からその他の学年の授業が再開されました。教育スポーツ省からは分散登校の設定、校内でのマスク着用、一教室で学ぶ生徒の人数制限等の指示が出されています。しかしながら、実際に各学校がどの程度順守しているかについては、教室の広さや設備状況にも起因するため、学校ごとに異なる可能性があります。

政府の対応状況

コロナ感染拡大による休校措置にともなって、ラオス教育スポーツ省は子どもたちの学びをとめないよう迅速に対策を打ち出していました。

①      国営テレビ放送による遠隔授業の取り組み
4月より、ラオス教育スポーツ省は国営放送局や衛星放送を使って毎日テレビ授業を行っていました。この授業は教育スポーツ省のウェブサイトやYouTubeチャンネル、Facebookのedu-sport tv onlineページよりライブ配信もされており、パソコン・タブレット・スマートフォンなどのデジタル機器を通じていつでも動画を観ることができます。学校再開後も、教育スポーツ省は引き続き遠隔教育の開発に尽力していくことを表明しています。

②      学校再開後のスケジュール
以下のスケジュールにて学校は再開しています。

初等教育5年生、中等教育4年生、7年生

  • 5月18日~6月26日  通常授業
  • 6月29日~7月3日  復習
  • 7月6日~10日  学期末試験
  • 7月13日~17日  初等教育卒業試験
  • 8月3日~7日  卒業に向けて準備
  • 8月10日  卒業式

初等教育1~4年生

  • 6月2日~7月10日  通常授業
  • 7月13日~17日  復習・学期末試験
  • 8月3日~7日  追試期間

子どもたちのいま

*情報収集準備中*


パデコの取り組み(2020/8/12更新)

プロジェクトの概要

ラオス政府は2020年までに後期開発途上国からの脱却を目標としており、初等教育の普及と質の向上を最優先の課題としています。パデコは2016年から基礎教育の技術協力プロジェクトを実施しており、初等算数教育の質の改善に取り組んでいます(2022年終了予定)。

プロジェクトは主に以下の3つの活動を行い、初等教育の算数学習の改善を目指しています。

①    初等教育の算数教科書・指導書開発
②    教員養成校の算数カリキュラム改訂・教材開発
③    現職教員の研修

世界的にも評価の高い日本の算数の教科書や教え方をベースに、「先生が一方的に教える」のではなく、「生徒が自ら考えて解く」問題解決型授業をラオスにも広めるために、新しい教科書を開発し、開発された教科書を使って教えられる先生を増やすために研修を実施しています。

参考:
ODA見える化サイト-初等教育における算数学習改善プロジェクト
Facebook-The Project for Improving Teaching and Learning Mathematics

プロジェクトの現状

プロジェクトでは6月の授業再開後、約2か月間の休校期間中の生徒の学習状況について21校を対象に電話聞き取り調査を行い、各学校の教員に話を聞きました。首都ビエンチャンのある郡では、宿題の回答を親が写真を撮ってWhatsAppで送り、先生が確認するという方法をとった学校がありました。近年のラオスでは大多数の家庭でスマートフォンの利用が広く普及しているため、SNSを上手く使いこなして先生と生徒の親がコミュニケーションをとる様子が見られます。

一方、突然の休校や授業の打ち切りによって生じた課題も数多くあるのが現実です。例えば、聞き取り調査を行った全21校の先生が、休校前に生徒全員に教科書を家に持ち帰らせ、教科書から宿題を出していたと回答していました。一方生徒に対して同じ質問をしたところ、必ずしもそうではなかったことが判明しました。恐らく、現実には教科書を持ち帰って学習できなかった生徒も存在していると思われます。この背景に、ラオスの小学校では原則教科書が貸与制であることや、製本の技術が低く破損しやすい品質であるため、生徒に持ち帰らせることで教科書が汚れたり痛んだりすることを懸念する先生が多いことがあります。また、そういった懸念から教科書を一人一冊配布することを躊躇し複数名で共有させることが、全生徒が教科書を持ち帰って家庭で学習できないという状況にも加担しています。教科書の製本技術の低さや冊数の不足が、生徒の家庭での学習を妨げる原因の一つとなってしまっています。

ラオスでは6月までに全学年の授業が再開し、一見、元の生活に戻りつつあります。しかし、コロナの影響で失われた数か月間の学びを取り戻すには、これからも多くの課題に直面すると思われます。実際、7月中旬からの夏休みまで約1ヶ月間しか授業がなかったため、先生たちは休校前の学習内容の復習にあまり時間を割くことができず、残り期間で教える単元の内容も絞って教えることを余儀なくされました。今年も予定通り9月から新学校年度が開始しますが、今学年度の学びの中断による影響及び対策について、今後も引き続きカウンターパートと検討し、より一層現地と密に連携していくことが必要不可欠となります。

遠隔支援の取り組み

COVID-19感染予防対策を取りつつ、教育スポーツ省や教育機関は通常運用体制に戻っています。日本人専門家が再び渡航できるようになるまで、オンラインで各研修や調査の準備を行い、引き続き技術指導を行っています。

6月~8月にかけては、新教科書原稿執筆ワークショップを実施し、JICA本部とJICAラオス事務所を繋いで日本人専門家が執筆指導を行いました。従来の研修ではカウンターパートを日本に招聘し、複数の研修員が並行して指導を受けられるよう3名の通訳を配置するなど、効率的な運用体制をとっています。遠隔でのワークショップでは1名ずつ作業をこなしていく必要があったため、従来と比べて作業に時間がかかりました。しかし、他の研修員が担当した単元についても全員で読み合わせながら改善方法について一緒に考える、専門家のアドバイスを聞きつつメモをとるなど、通常時より時間をとって丁寧に指導を行えたことも今回の収穫です。

日本人専門家が不在の中なるべくコロナ前と変わらない技術支援を届けられるよう、他の活動についても引き続き遠隔での指導方法について検討していきます。

文責:西原梨緒(コンサルタント/アナリスト)・中野明子(シニア・コンサルタント)


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