【開催報告】日本式の全人的な教育にかかる情報共有セッションが開かれました Vol.1

12月20日(月)に日本式の全人的な教育を導入しているインドネシア、エジプト、マレーシアとの情報共有セッションが開かれました。

【実施概要】
日時: 2021年12月20日(月) 日本時間16:00~17:00
実施形式:Zoom
参加国:インドネシア、エジプト、マレーシア、日本
開催テーマ:「掃除」の活動について
使用言語:英語

セッションでは、エジプトでの特活導入のJICA技術協力プロジェクトチームのナショナルスタッフのSafaaさん、Abdelmeguidさんの自己紹介から始まり、エジプトで行われている日本式教育の一つ、「掃除」の導入期や受け入れられ方、掃除の実践による変化が紹介されました。

Safaaさん(エジプト/JICA技術協力プロジェクトチーム)

Abdelmeguidさん(エジプト/JICA技術協力プロジェクトチーム)

エジプトでは子供が学校で掃除を行う習慣はなく、処罰のようなものとして掃除が行われていました。導入時は、両親の反対が大きく、両親に受け入れてもらうことが大きな課題でした。校長先生や教員は、保護者に何度となく、掃除を導入する教育的意義や子供に及ぼす良い影響を説明し、現在は保護者にも納得してもらって実施しています。子供たちだけではなく、教員も一緒になって全員で掃除を協力して行っていた姿は、納得理由の一つと考えています。 幼稚園では、簡易的な掃除を行っていますが、子供たちはグループで協力し掃除をする中で、掃除の方法を模倣し、楽しんで熱心に行っています。 

また小学校では、パイロット校での掃除習慣が根付いていて、特にEJSではそれぞれの学校でルールを作り、先生がロールモデルとなりアドバイスやサポートをし、全員で楽しんで掃除を行っています。掃除の導入は、子供たちだけではなく、両親や周辺環境へ良い影響を与え、小さい時から掃除を行うことで、振る舞いや考え方が変わり、周辺地域や社会、さらにエジプト全土の変革が期待されています。

エジプトからの発表に続いて、インドネシア教育大学のTatang教授より、インドネシアの参加者の自己紹介とインドネシアでの掃除実践の紹介がありました。インドネシアでは2019年から特活が取り入れられましたが、現在の幼稚園での取り組みの様子のビデオが紹介されました。

Tatang教授(インドネシア教育大学)

登園した年少の園児が年長の園児に連れられ教室に向かうところから始まる。幼稚園に到着した園児は、自ら靴箱に靴を入れ教室に入ります。この日は園児が集まると職員から手洗いの仕方の説明が行われました。幼稚園にはおやつの時間がありますが、毎回のおやつの時間では、①まず石鹸を泡立て手を洗い、自分のタオルで手をふきます。②園児の一人が、先生を手伝いケーキを配膳します。③園児たちはみんなでおやつの時間を楽しみ、食べ終わると自分のお弁当箱とナプキンをロッカーの鞄の中に片付けます。④共有の布巾で自分の机を拭いたら自分の机のそばを掃き掃除ます。⑥全員が食べ終わると、全員で教室の窓やロッカーの拭き掃除や、床の掃除を行います。その後、園児たちは帰る前にみんなでお話をする時間を持たれお迎えが来て、帰っていきます。

後半は質疑応答が行われ、掃除への取り組みについて活発に質疑応答が行われました。質問には、各国で掃除が取り入れられる際、日本のやり方を参考にする中で、「なぜその方法が用いられたのか」、また「なぜ幼稚園の小さい子供を対象に行っているのか」など、各国での活動の導入方法や導入するステップなどの質問が上がり、各国で行っている掃除の指導の理由やポイントなど回答がありました。また、「掃除が習慣化するまでにどのくらいの時間を要したか」や「掃除を通して子供の振る舞いが変わった点があるのか」など、具体的な子供への指導の方法や成果を問うものも挙がりました。

最後に、インドネシアの参加者より、学級会を子供たちが運営していくために教員はどのように指導しているのなどの質問も挙がり、今後の情報共有セッションで詳しく議論していくことになりました。