
2021年3月8日から全国的に学校の再開が発表されました。しかし、2021年7月の急速な感染率の増加に伴い一部の学校・地域では30日間の休校措置が取られています。休校は現時点で8月17日まで続く予定です。

モザンビークにおける新型コロナウイルス感染症の状況が悪化したため、専門家の渡航が一時見合わせとなっています。現在は、遠隔で現地スタッフと協働して教員研修の実施計画を策定しています。
教育の現状(2021/9/6更新)
学校の状況(休業の状況)
モザンビークでは、2020年3月22日に最初の新型コロナウイルス感染者が確認され、翌日より全ての教育機関が閉鎖されました。モザンビークの学校は3学期制で、2月から1学期が始まっていましたが、新学年度が始まって二ヶ月も満たないうちの休校となりました。2020年9月に緊急事態宣言 (State of Emergency) が取り下げられ非常事態宣言 (State of Calamity) へと変わると同時に、一部の地域・学校では授業が再開し、感染率の増加に伴い再度のロックダウンを経て2021年3月8日から全国的に学校の再開が発表されました。しかし、2021年7月の急速な感染率の増加に伴い一部の学校・地域では30日間の休校措置が取られています。休校は現時点で8月17日まで続く予定です。
コンゴ民主共和国でのエボラ出血熱流行時に学校が閉鎖された経験から、休校が長引けば長引くほど子どもたちが学校に戻ってくる可能性が低くなり、読み書きができなくなるリスクが高まることがわかっていました。 モザンビークでは、パンデミック以前にすでに3分の1以上の生徒が3年生の前に中退し、半分以上が小学校を卒業しないという状況だったモザンビークでは、パンデミックが学習成果に与える影響は壊滅的なものになる可能性があり、柔軟で効果的な対応が求められ続けています。
出典:
“Mozambique school children face ‘catastrophic’ fall-out from COVID-19: a UN Resident Coordinator blog”
“Mozambique: Government Authorises Re-Opening of Schools”
“Continuity of learning amid the coronavirus crisis in Mozambique”
“COVID-19 TRACKER”
政府の対応状況
1.教育危機管理マネジメントチームの立ち上げ
2020年3月下旬に、政府はUNICEFの援助を受け「危機管理マネジメントチーム」を立ち上げ、大まかなCOVID-19対応計画を発表しました。 計画案には、小学校の遠隔教育の準備と実施、教師への心理的サポート、学校の事業継続計画(BCP)、学校の衛生設備の充実などの項目が含まれています。 また、衛生的で安全な学習環境の確保を前提とした、学校の再開のための準備にしても触れられています。
2.遠隔教育プログラムの提供
ヨーロッパや北アメリカとは異なり、モザンビークでは5人に1人しかインターネットにアクセスできないため、オンラインで遠隔教育を実施すると、ほとんどの子どもが教育を継続できなくなります。 一方、ラジオやテレビはインターネットよりもはるかに普及率が高く、子どもたちに教育コンテンツを届けるためにはより優れた方法です。休校発表後、政府は子供達の学びの継続のため既存の遠隔教育プログラムへのアクセスをすべての中学生に開放し、Telescola(TV教育プログラム)とラジオ教育プログラムの提供を開始しました。 これに伴い、様々なテレビ・ラジオ局が迅速に放送を開始しました。例として、TVM局は国連児童基金(UNICEF)やEducation Cannot Wait(ECW)プログラムからの資金提供を受け、1日あたり約1.5〜2.5時間 Telescolaを放送しています。小学校低学年の子どもたちも集中できるよう、遊びの要素を取り入れた参加型教育プログラムを放送しています
出典:
“Teachers on TV — How Thousands of Children in Mozambique Are Learning During COVID-19”
3.休校中の学校給食の提供
モザンビークでは多くの子どもたちが毎日の食事を学校給食に頼っています。子どもたちにとって休校は教育を受けられないだけでなく、栄養をとる機会をも脅かします。休校措置によって235,000人の子供達が学校給食を食べられず、その9カ月後には67,500人の子供達が治療が必要になるほど栄養失調が悪化すると推定されていました。休校による栄養不良を防ぐため、一部の地域では休校中もコミュニティ内での学校給食の供給が行われました。
出典:
“The Impacts of COVID-19 on Children in Mozambique: COVID-19 Policy Not3”
“Flash Appeal for Covid-19 Mozambique”
パデコの取り組み(2021/9/6更新)
プロジェクトの概要
パデコは、モザンビークにおいて2016年以来、初等教員養成校用の算数・理科の教材開発を支援し、初等教員養成校の学生及び教官の指導力向上に貢献してきました。2021年3月から「新しい学校教育制度に対応したカリキュラム普及プロジェクト」に参画し、算数・理科の教員養成や現職教員研修による人材育成を支援しています。
プロジェクトの現状
専門家が6月に現地に渡航し、教育省や初等教員養成校、遠隔教育研究所等を訪問しました。教員養成校のICT環境や教員研修制度の現状調査と分析を行い、教育省関係者との協議を重ねてプロジェクトの実施体制を構築しました。その後、モザンビークにおける新型コロナウイルス感染症の状況が悪化したため、専門家の渡航が一時見合わせとなっています。現在は、遠隔で現地スタッフと協働して教員研修の実施計画を策定しています。
参考:
文責:沖重愛佳(プロジェクト・コンサルタント)