
2020年11月には例年通り新学校年度が始まりましたが、度重なる市中感染により学校は閉鎖され、2021年8月までに児童生徒が通学できたのは1-2か月程度でした。2021年9月中旬以降、中学校以上の学校が順次再開されています。
教育の現状(2021/10/5更新)

学校の状況(休業の状況)
新型コロナウイルスの影響によって、2020年3月16日から全国の公立・私立教育機関が一斉休校となっていましたが、同年8月には十分な対策を講じていると教育省が認めた私立校20校が再開され、同年9月7日からは消毒等の感染防止措置とともに教室あたりの人数制限、週あたり登校日数の設定、1日当たりの授業時間や授業科目の制限、などを行うことを前提に全国の幼稚園から高校までの学校が再開されることになりました。
2020年11月には例年通り新学校年度が始まりましたが、度重なる市中感染により学校は閉鎖され、2021年8月までに児童生徒が通学できたのは1-2か月程度でした(閉鎖期間は地域により異なる)。その間、カンボジアでは政府が強力に推し進めるかたちで12-18歳青少年を含む国民へのワクチン接種が急速に進み、その結果、同年9月中旬以降、各地域の感染状況や予防対策を評価したうえで、中学校以上の学校が順次再開されています。今後、6-11歳児童へのワクチン接種が進むにつれて、小学校も再開される見込みとなっています。
今後も、対面式の授業、家庭学習、オンライン学習を組み合わせた形で教育活動が進められることになります。なお、2020年度の12年生の卒業試験が例年より約3か月遅れの2021年12月に予定されていることから、新学校年度は2022年1月の開始となる見込みです。(2021年10月5日付)
政府の対応状況
コロナ感染拡大による休校措置にともなって、カンボジア国教育・青年・スポーツ省は、子どもたちの学びをとめないよう迅速に対策を打ち出しています。
参考:Cambodia Education Response Plan to COVID19 Panademic July 2020
- オンラインコンテンツのプラットフォーム開設
2020年3月13日より、カンボジア国教育・青年・スポーツ省はオンラインコンテンツのプラットフォームを開設し、随時更新しています。 - TVメディアを介した教育プログラムの配信
カンボジア国教育・青年・スポーツ省と情報省はカンボジア国営放送に教育チャンネルを新設し、同年4月21日から教育プログラムの24時間配信を開始しました。カンボジア国教育・青年・スポーツ省のFacebookよりライブ配信もされており、パソコン・タブレット・スマートフォンなどのデジタル機器を通じていつでも動画を観ることができます。
- 教員養成課程のコンテンツを作成、配信
全国に2校ある4年制の教員養成大学の教員が、教員養成大学や教員養成校(2年制)の学生に向けた、授業コンテンツを作成し、SNS(Telegram)を介して配信しています。
子どもたちのいま
*情報収集準備中*
パデコの取り組み(2021/9/1更新)

プロジェクトの概要
カンボジア政府は2030年までに高中所得国入りを目標としており、経済社会基盤の強化においては、産業人材の育成、基礎教育の質の向上を最優先の課題としています。パデコは2000年以来、同国で教員養成分野の技術協力プロジェクトを実施しており、理数科を中心に教育の質の改善に取り組んできました。現在は、2年制の教員養成課程を4年制に移行する教育・青年・スポーツ省の要請により、教員養成大学設立のための基盤構築を支援しています(2017年~2022年)。
教員養成大学設立のための基盤構築プロジェクト
プロジェクトは主に以下の3つの活動を行い、基礎教育の質の向上を目指しています。
① 教員学士化に向けた政策策定の支援
② 教員養成大学(新設)の大学運営管理の支援
③ 小学校・中学校教員養成課程(4年制)のシラバス・教材開発(理科、算数・数学、英語、ICT、教育学)
参考:ODA見える化サイト「教員養成大学設立のための基盤構築プロジェクト」
プロジェクトFacebookページ “The Project for Establishing Foundations for Teacher Education College (E-TEC Project)”
プロジェクトの現状
2020年3月以降、日本人専門家が渡航できない状況が続いていますが、カンボジア教育省や教員養成大学、そして現地スタッフとの協力関係を最大限に活かして、遠隔での支援体制を迅速に立ち上げ、プロジェクト活動を滞りなく進めてきました。2021年5月下旬からは、いよいよプロジェクトの最終年次に入り、教員養成大学の管理職教員向けのワークショップ(教師教育者評価の運用、アクション・リサーチの促進)、教員向けのシラバス・教材開発協議、エンドライン調査などを遠隔ベースで日々実施しています。また、本来であれば日本で実施する予定だった「本邦研修」も、現地のコロナ禍を踏まえてオンラインに変更して実施中です(2021年8月30日~10月1日)。この研修では、教員養成大学4年生のシラバス・教材を最終化することを目指しています。2021年10月以降、諸所の条件が整い次第、日本人専門家が渡航し、一部対面での技術指導を再開する予定です。
文責:塩田恵(シニア・コンサルタント)