ミャンマーの教育の今

教育の現状(10/12更新)

7/21からチェックリストをクリアした高校から順次開校が進められていましたが、急激な感染拡大により、8/27には再びすべて休校となりました。9月下旬には一日1,000人程度の新規感染者が報告されるようになり、現在も同様の状況が続いています。

パデコの取り組み(10/12更新)

プロジェクトオフィスの感染予防対策について考えうる限りの方策を立てて業務にあたっています。小学校再開時期が不透明なことから、プロジェクトが作成した休校中の自宅学習用教材が配布、活用されることになりました。


教育の現状(2020/10/12更新)

学校の状況(休業の状況)

3月24日に初の感染者が報告されて以来、ミャンマーの感染者情報のほとんどは海外からの帰国者とその濃厚接触者に限定されていました、ところが8月下旬に市中感染が確認され始めると、数日の内に一日100人を超えるペースに増加しました。

7月21日以降、感染対策チェックリストをクリアした学校から順次開校が進められていましたが、急激な感染の拡大を受け、8月27日には既に授業を再開した学校を含めすべての基礎教育学校が休校となりました。その後9月下旬には一日1,000人程度の新規感染者が報告されるようになり、現在も同様の状況が続いています。 

政府の対応状況

教育省は、国内の感染が収束するまでは学校を再開しない方針です。今後数カ月の感染推移の予測は困難であるため、再開がいつになるのか、また今年度中に学校が再開できるのかどうかもわかりません。この週末には、来年の長期休暇の短縮や、最悪の場合は今学年をスキップすることを考える必要がでてくる可能性があるとの見解も報道されました。

いずれにしても休校が長期にわたることは確実になったので、どうにかして子ども達の学習を継続させるため、8月に配布が決定された休校期間用の自宅学習教材だけでなく、今年度の学習を進める自宅学習についても計画が進んでいます。教科書や教材の配布のほか、教育省のオンラインプラットフォーム(Myanmar Digital Education Platform: MDEP)やその上に設けられたDBE Boxサイト、テレビ、ラジオ等さまざまな媒体で学習をサポートする資料を配信する予定です。

子どもたちのいま

プロジェクトでは新カリキュラムを紹介するウェブサイト上に設置したアンケートにコロナ下の子どもたちの状況について尋ねる設問を追加し、ミャンマーの皆さんの声を募集しています。これまで寄せられたご意見をご紹介します。

最近の子どもたちの様子については、以前のように学校に行きたがっている、いつ学校が開くの?と質問されたという声もある一方で、学校に行くのが心配と言っているという声も寄せられました。

子どもたちの状況への懸念に関しては、マスクをずっとつけさせておくことや、友達と遊びたい子どもたちにソーシャルディスタンスを保たせるのが難しいことから感染のリスクが心配という声が寄せられました。

また、新型コロナ禍による規制が続く中での家庭学習については、インターネットへのアクセスがある家庭ではオンライン学習に子どもたちが興味をもって取り組んでいるという声がありました。一方で、インターネットへのアクセスがない家庭も多いことから、無料でインターネットへのアクセスを確保してほしい、学校の閉鎖が続くようであれば教科書を先に配ってほしい、という意見もありました。

また、家庭学習では子どもたちの集中力を継続させることや、協同的に学び、協力しあう心をはぐくむのが難しい、という「教育への質」についての不安も聞かれました。

学校再開後についての意見もあり、もし、2部制などが取られた場合は教師の負担が増加してしまうことへの懸念や、感染防止のために必要な備品を整えることが必要、といった声が寄せられています。

プロジェクトでは今後もウェブサイトやFacebook等を活用しながら、ミャンマーの方々のご意見を募集し、プロジェクト活動に生かしていく予定です。

文責:大津璃紗(コンサルタント/アナリスト)


パデコの取り組み(2020/10/12更新)

プロジェクトの概要

ミャンマーでは、民主化を支える基礎教育の拡充が重点課題の一つであり、教育省は、学制改革や教員養成の高度化など大規模な教育改革に取り組んでいます。パデコは小学校全学年全教科の新しいカリキュラムの教科書、教師用指導書、評価ツールの開発と全国普及、教員養成校のカリキュラム改訂への教材提供、これらを通した教員養成校教官などの人材育成を包括的に支援しています。

初等教育カリキュラム改訂プロジェクト(CREATE Project)
公式ウェブサイト
Facebookページ  
Youtube公式チャンネル 

映像ライブラリ:
プロジェクト紹介ビデオ
新カリキュラムテレビCM(和・英 Youtube字幕設定あり)
新カリキュラム広報短編ドラマ(英語字幕) Active編Creative編 
新カリキュラム広報長編ドラマ “Our Hope, Our Future – 私達の希望、そして未来” (日本語字幕)
NHK World/MRTV(英・ミ)”ASEAN Now and Future”から抜粋

参考:
ODA見える化サイトー初等教育カリキュラム改訂プロジェクト
JICAー初等教育カリキュラム改訂プロジェクト
JICA広報誌Mundi特集記事(その1)
JICA広報誌Mundi特集記事(その2)

プロジェクトの現状

カリキュラム開発および、教員養成校カリキュラムに資する教材の開発は、4月から5月の2カ月間、全メンバー在宅勤務にて実施しましたが、6月からは、政府の方針に従い、教育省カウンターパートとプロジェクトスタッフの現地メンバーはプロジェクトオフィス勤務に戻りました。6月時点では移動制限が緩和されつつあったとはいえ、医療体制が脆弱なミャンマーではコロナ感染は大きなリスクとなります。オフィスの感染予防対策やガイドラインの作成、勤怠管理の例外措置の導入等、安全に業務にあたってもらうために考えうる限りの方策を立て、リスク低減にあたりました。
8月下旬以降の感染拡大を受け、9月9日からは交代制の在宅勤務、9月末に原則としてタウンシップ間の移動が禁止されたことを受け、10月1日からはスタッフのみ全面的な在宅勤務に戻ったところです。

5年生の教科書と教師用指導書の最終稿締切を目前に控え、原稿のレビューと修正作業にスパートがかかっています。教科書執筆者グループ(Curriculum Development Team: CDT)とプロジェクト専門家がオンライン会議で検討したドラフトを教科別カリキュラム委員会(Subject-Wise Curriculum Committee: SWC)に提出、ほとんどの場合は検討会議(オンラインもしくは対面)を経て修正版を作成、SWCが承認した原稿を最終的な承認機関である国家カリキュラム委員会(National Curriculum Committee: NCC)に提出します。大変シニアな先生方から成るSWCやNCCとの検討会や訂正事項の伝達はオンラインのツールだけでは難しいため、オンラインや電話等のコミュニケーションと印刷物のやりとりを取り混ぜて行われています。

そんな中ですが、団員の皆様にどうにか時間を捻出していただき、教育省や他ドナーと緊密に調整しながら、コロナ対策のための追加の活動を進めています。

休校中の学習支援

配布が決定している前年度の復習用教材(5教科)4週間分、6月に実施された新カリキュラム導入のためのオンライン研修への支援、コロナ下の授業時数の減少や感染予防対策をふまえたカリキュラムの調整(10教科)に続き、短縮版カリキュラムに基づいた自宅学習教材(3教科)を作成しています。

コロナ下の学びをどう実現していくのか、感染対策を講じながらの児童中心型教育について伝えるビデオは、撮影やアニメーションなどの編集指示を遠隔で行う難しさを乗り越えてついに完成しました。現状では授業ができないのですべての内容が活きてくるのはもう少し先になりそうですが、こういう時だからこそ、物理的な条件よりも「学ぶ子どもに向き合う姿勢」をもう一度考えていただくきっかけになればと思っています。

その他の映像資料としては、教育省が自宅学習の本格導入を決定したことを受け、教科別に自宅学習のすすめかたを説明するビデオ(5教科)を制作中です。また、教育省が授業代替映像の制作・放映するために参考としてもらうべく、台本サンプルを作成しています。

新しい新カリキュラム広報番組が放映開始されました!
このビデオに登場するような授業はしばらくできませんが、新カリキュラムのコンセプトは変わりません。多くの方々により深くご理解いただく助けになることを願っています。

カリキュラムを作っているプロジェクトとして、これらの「コンテンツ」の提供をとおして、教育省が計画している自宅学習に息を吹き込んでいくことができればと思います。

参考:
新カリキュラムテレビCM(和・英Youtube字幕設定あり)
新カリキュラム広報短編ドラマ(英語字幕) Active編Creative編
新カリキュラム広報長編ドラマ “Our Hope, Our Future – 私達の希望、そして未来” (日本語字幕)
NHK World/MRTV(英・ミ)”ASEAN Now and Future”から抜粋

その他特筆すべきこと

前回ミャンマーの教育の現状をご報告してから2カ月が経ちました。この間に、国内感染の報告数は激増し、学校の再開は遠のき、プロジェクトはフル回転で教科書開発の傍らさまざまなコロナ対策支援を行ってきました。学校が閉まったままであることも、教育省が日々変化する状況への対応に奔走していることも、プロジェクトが知恵と時間を絞り出して走り続けていることも、2カ月前と変わりません。

しかし、子ども達がおかれている状況は同じどころではありません。前学年が終わってから7カ月、通常の新学年開始から4カ月半、毎日勉強に励みお友達と遊んでいたはずの子ども達は今、何をしているのでしょうか。家庭教師に来てもらって受験勉強をしている子、私立校や塾のオンライン授業を受けている子もいるでしょう。家のお手伝いをしている子、中には働きに出ている子もいるでしょう。農家の子達の中には、田植えの後の作業にも参加し続け、そろそろ収穫が見えてきて、地域によっては次の植え付けの話を耳にするところも出てくる頃ではないでしょうか。1年生は学校を知らないまま、高校最終学年の子達は今年度マトリキュレーション試験(高校卒業兼大学入学試験)が実施されるのかどうかもわからないままです。先生方は、7月から8月にかけては開校のための感染対策準備に追われ、その後は自宅待機が続いています。日本の休校時と異なり児童生徒に教科書が配布されていないので、学習サポートを行うこともできません。

この2カ月間、教育省の方々とお話ししていて、「子どもの学びを継続させることが大事だ」との発言をよく聞くようになりました。もうすでに学びが断絶してしまっていることは皆わかっているのですが、つまりそれは、子ども達が学びの機会を失った状況を放っておいてはいけないという認識の表明、すぐにはどうにもならないのだけれど、どうにかするのだという意思表示です。感染拡大の阻止は国家課題であり、教育省だけで判断できることは限られています。そのような中にあっても、どうにかしたいという声を聞く度に、立場が違っても同士として支えていきたいと思わされます。

これからミャンマーの教育がどうなっていくのか、すぐ前はまったく見えません。けれども、こうして学校が開かなくても子どもの学びを継続させるために行う準備は、きっとこの後、もっと柔軟な学校教育のあり方を作り上げていくプロセスにつながっていくのではないかと思っています。ミャンマーの子ども達が学校に、あるいは「学び」に、戻ってくる日が、一日も早く来ることを願います。

文責:宮原光(プロジェクト・コンサルタント)


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